診察内容

整形外科

股関節形成不全

股関節形成不全

股関節形成不全(CHD)は犬の50%程度に見られるといわれている遺伝性疾患です。
股関節を形成する骨・軟骨・関節液・関節口・靭帯・筋肉の発達の異常により股関節の緩み、大腿骨に対する寛骨臼の角度が浅いなどの異常が起こってきます。
その結果、関節の変形とともに関節炎を起こす病気です。

また、遺伝的要因だけでなく関節炎がどの程度起こってくるか、症状が発症するかどうかは生後の環境の影響も受けます。
成長期の若い犬が歩行時に後肢の痛みや歩行異常を認めたら、痛み止めの薬を連用するのではなく、詳しい検査を受け、将来起こるべき重度の関節炎をより軽いものにして下さい。
また成長期においては、予防的な股関節の手術(TPOプレート)も行っています。

当院長は、CHDのレントゲン検査のPenn HIPの認定医です。
また日本動物遺伝症ネットワーク(JAHD)の会員です。

肘関節形成不全

肘関節形成不全

動物の肘関節は、上腕骨、橈骨、尺骨の3本の骨で形成されています。すなわち、3本の骨がバランスよく発育、成長しないとスムーズに動く肘関節が形成されません。
犬は種類によって成長過程でうまく肘関節が形成されずに痛みをうったえたり、異常歩行が認められたりする場合があります。

また、成長期の軽度の肘関節形成不全を痛み止めの内服薬などで長期に治療したりすると将来、慢性関節炎になったりします。
もし発育成長期に肘関節の持続する痛みがあったら、まず詳しいレントゲン検査を受け、将来にむかってよりよい治療を選んでください。

椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニア

犬の中でも、ダックスフンドやビーグルは椎間板ヘルニアになりやすい種類です。
椎間板ヘルニアは脊椎椎骨間にあるクッション(椎間板物質)が突出したり破裂したりして脊髄神経を圧迫して発症します。
症状は軽度の場合、抱くのを嫌がったり、体に触れると痛みを訴えます。

重度になると腰が抜けたようになり起立困難になり排便排尿が出来なくなります。
治療は症状により異なりますが、早期に脊髄造影検査と脊椎造窓術を行うことが回復につながります。
最近では軽度の症状を繰り返す犬にはPLDD(レーザーによる脊椎椎間板髄核蒸散術)と言って出血や傷が残らないヘルニア手術があります。
また手術後のリハビリには東洋医学である鍼通電治療も効果をあげています。

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼

膝蓋骨脱臼とは、後肢にある膝蓋骨(いわゆる膝のおさら)が正常な位置から逸脱した状態を言います。

内側にはずれる内方脱臼と外側にはずれる外方脱臼があります。
内方脱臼は小型犬に多く、外方脱臼は大型犬にまれに発生します。
原因は先天性と後天性にわけられます。先天性のものでは出生時から、膝関節周囲の筋肉や骨の形成異常や靭帯の付着部の異常などが存在し加齢とともにこれらの異常が進行して膝蓋骨の脱臼を招きます。
後天性のものでは打撲や落下などによる外傷性の原因で膝蓋骨周囲の組織に損傷が生じたり骨に関連する栄養障害などによって骨の変形が生じた結果、本症が発生します。

治療はそのグレードによって色々です。
軽度の肥満動物であれば減量と痛み止めでよいでしょうが重度の痛み、患肢の挙上が継続するのであれば整形外科手術によってしか治療できません。
また膝蓋骨脱臼を放置している肥満の高齢犬では、膝蓋骨を形成している前十字靭帯を断裂する場合もあります。

眼科

眼科検査

眼科検査

●OCT(非接触角膜、前房、眼底拡大検査機器)

眼科に新しい検査機器の導入をしました。
非接触にて角膜、前房、眼底の検査が詳しくできる機械です。
現在、表層角膜のジストロフィーのレーザー治療を研究中です。

こう、ご期待。

白内障

白内障手術に用いられる人工レンズ

白内障

白内障は、眼球内の水晶体が白くなり物が見えなくなる病気です。
いろいろな動物に起こり、現在、犬や猫の場合には人と同じように外科手術が行われ、人工レンズが眼内に装着されます。
点眼薬、内服薬、サプリメントではなかなか治療効果は見られません。

白内障は発生年齢により、先天性白内障(生まれたときにすでに水晶体が白い)、若年性白内障(1~6歳で発症)、老齢製白内障(6歳以上で発症)に分類されます。
最近では若年性白内障が増えており、コッカースパニエル、プードル、シーズー、柴犬などに多く、若く元気な犬の眼が、数日で突然白くなり眼を痛がるのが特徴です。
このタイプの白内障は、水晶体誘発ブドウ膜炎(LIU)を併発することが多く、治療を誤ると早期に失明します。
ブドウ膜炎の治療を万全に行い、白内障の手術を適切な時期に実施することで、視力を保つことができます。

また、加齢に伴い進行する老齢製白内障は、ゆっくり進行しますが、手術適応の上限は10歳くらいとされています。

眼の病気は、失明すれば生活が一変します。
目がおかしいなと思われたら、まずは診察を受けてください。

緑内障

眼の解剖学的構造と緑内障の原因

緑内障

緑内障は視神経が損傷を受けて視野が欠けていく眼疾患の総称であり、眼内の圧力が高まり視神経乳頭部分の損傷が起こることで視力が奪われます。
放置すると100%失明するため、早期発見が望まれますが、そのためには眼圧検査、眼底検査が必要となります。

犬種によってはなりやすい種類がいます。
眼をショボつかせていたり、目ヤニが出るなどといった症状が見られる時、まず眼圧を測定して下さい。
原因を特定せず点眼をしないで下さい。眼圧が60mmHg以上だと数時間で失明してしまう場合があります。

緑内障の治療は、視覚が残っているのか、失われているのかによって変わってきます。
治療を開始するにあたって、眼底検査や網膜電位検査(ERG)により、視覚の有無を評価することは非常に重要です。

流涙症

眼の解剖学的構造と緑内障の原因

流涙症

涙は、角膜の乾燥を防いだり、角膜への栄養、角膜上での感染防御などの役割をしています。

涙が角膜全域をうまく潤すことが出来ない時、あるいは短頭種に多い涙点、涙管が詰まったりする時、涙は本来の働きができず、眼の周囲に溢れたりします。
このような時には、検査、治療が必要です。

一般外科

眼科検査

眼科検査

乾性角膜炎はムチン産生の異常で、涙の量が不足し、角膜と結膜が乾燥し、そのために炎症を起こす病気です。
犬では一般的ですが、猫では稀だと言われ、特にコッカースパニエル、ブルドッグ、シーズーなどで良く発生します。


●症状

眼に違和感を感じ、まばたきの回数が多くなったり、涙の量が減り、眼が乾燥してしまいます。
結膜が腫れて充血し、瞬膜も腫れ、ドロッとした目ヤニが見られることが特徴です。
進行すると角膜が潰瘍を起こし、細菌感染などの原因にもなります。
慢性化すると角膜に黒い色素が沈着し、視力が妨げられ、最終的には失明することもあります。

一般外科

一般外科

またレーザーは目の病気である緑内障の手術にも使用します。
最近では椎間板ヘルニアにもレーザーを使用する治療法もあります。

内科・皮膚疾患

慢性皮膚病について

動物の皮膚病でかゆみは大変なストレスで、見ている飼主にとっても気になるものです。
皮膚病には、色々な原因があります。慢性的な皮膚病では、原因をはっきりさせ、対応することが大切です。
慢性皮膚病の原因には、アレルギーや自己免疫疾患などもあり、治療を受けていても完治に至らず、ぶり返したり、悪化したり、ステロイドによる副作用が強く出たりして苦慮します。

最近では、慢性の皮膚病に対し詳しい検査が行われ、より原因をはっきりさせることができます。
またステロイドにかわる薬(免疫抑制剤)の使用もデータが蓄積され、使用する機会が増えてきました。

当院では、慢性の皮膚病によるかゆみにはアレルギー検査を行い、治療は減感作療法を含め、症状軽減のための色々な選択肢を説明させて頂いています。

アレルギーとは

環境中の本来なら害のない物質(カビや花粉、ダニの死骸など)に対して体が過敏な反応を起こすことを言います。
アレルギーの治療において、最も有効な治療法は原因となっている物質を避けることですが、実際には完全に避けることは不可能です。

減感作療法とは

減感作療法はWHO(世界保健機構)において「アレルギーの自然治癒を促す唯一の治療法」とされ、現在、欧米では獣医療も含め広く利用されています。
アレルギーの原因となる物質(花粉、カビ、ダニなど)のエキスを少しずつ、量を増やしながら注射することによって、そのアレルゲンに対して体を慣れさせて、アレルギーを発症させないようにします。

完治する治療法ではありません。約9ヶ月間で26回の注射を行います。
その後、月1回の注射により減感作の状態を維持していきます。
効果として、60~80%前後の改善が見られます。

また高齢動物、免疫不全状態、判明していないアレルゲンによるアレルギー反応、他の慢性疾患では、効果が認められない場合があります。
副作用では、アナフィラキシーショックがごく稀に起こる場合があります。
軽い副作用として、皮膚の発赤、嘔吐、下痢、かゆみが見られる場合があります。